文化は小説に影響を与えます。また小説は文化に影響を与えます。一つの小説がその国の文化に多大な影響を及ぼすことがあります。小説が人々の生活習慣を変えることもあります。また、小説は時代の変化や世の中の流行に敏感に反応します。小説と文化は常に相互作用を及ぼしています。
人気小説の影響を受けて、人々の生活や行動が大きく変わることがあります。主人公の考え方や行動は、読者に大きな影響力を持ちます。
人は小説を読むとき、ある程度その主人公や登場人物に感情移入します。主人公や登場人物が取った突飛な発言や行動で成功するのを読めば、自分も同じような発言や行動をすれば上手くいくのじゃないかと思います。
小説を読んだ後は、まるで自分が小説の中の主人公になったような気分になって、ちょっと気取ったセリフを言ってみたり、みんなが驚くような行動をしてみたくなります。
一人だけが突飛な発言や行動をしていれば、その人が単なる変人とみなされるだけかも知れません。でも、小説を読んだ人たちが、その突飛な発言や行動をどんどんマネするようになると、さらにそれを模倣する人も増えてきます。かつては突飛だった発言や行動も、世の中でたくさんの人たちがマネするようになれば、それはもはや突飛ではあります。その新しい発言や行動が、あたらしい文化として定着してくるかもしれません。
小説は人によって書かれたものです。小説作家はストーリーを考える際、日常生活のちょっとした体験や他人のうわさ話をヒントにしたり、たまたま見た夢などを参考にしたりします。作家としては、できれば斬新で面白いストーリーを思いつきたいものです。でも、のアイデアだけで良いストーリーが思いつくとは限りません。そこで自分が見聞きした話のなかでも、とりわけ突飛な話を特集してストーリーを書くことがあります。あるいは、何気ない普通の話を、より突飛な話に聞こえるようにアレンジして書くこともあります。作家の目標は世の中の人々の注目を集めることです。注目を集めるために、出来れば常識から一歩はみ出た非日常を描こうとします。
小説は時代の変化や世の中の流行に敏感に反応します。若者の流行、新しい考え方などは、多くの作家はいち早く取り入れようとします。逆に、古い文化を再発見するような小説もあります。
小説は文化を刺激し、文化は小説を刺激します。小説と文化は常に、複雑な相互作用を及ぼしています。