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日本では「エネルギー」という言葉と「エナジー」という言葉が存在し、何となく使い分けられています。「エネルギー」は物理や化学の勉強をするときに教科書に出てくる言葉です。一方で「エナジー」というと栄養満点の食事やサプリメント、栄養ドリンクなど、パワーアップや疲労回復に有効とされる栄養素を含んだ食事やドリンクをイメージすることが多いようです。「エネルギー問題」という言葉はよく聞きますが、「エナジー問題」という言葉は聞かないかもしれません。
「エネルギー」はドイツ語からの外来語、「エナジー」は英語からの外来語で、基本的に同じ意味です。
日本の物理や化学の教科書ではドイツ語由来の「エネルギー」を使い、英語由来の「エナジー」を使わないのが一般的です。教科書でドイツ語由来の「エネルギー」が使われるのには理由があります。
第二次世界大戦以前では物理、化学、医学などの優秀な学生はドイツに留学し、ドイツの大学で学んだことが多かったようです。そうしてドイツで学んだ学生たちが日本に帰ってきて、教授になって教科書を書き、ドイツ語の用語を取り入れた授業をするようになります。そうして、教科書の用語としてドイツ語が取り入れられるようになりました。
第二次世界大戦以降になって、ドイツよりもアメリカに留学する人が増えてきました。英語圏で学ぶ人が増えてくると、「エナジー」という言葉も広まってきます。商品名、会社名、キャッチフレーズなどでも「エナジー」という言葉をしばしば見かけます。
英語由来の「エナジー」という言葉がじわじわ浸透してきていますが、物理や化学の教科書はそのままドイツ語由来の「エネルギー」を用語として使い続けています。
例えば、熱エネルギーとか、位置エネルギー、運動エネルギーとはいいますが、熱エナジー、位置エナジー、運動エナジーなどと書いた教科書は見かけません。
一方で「エナジーフード」「エナジードリンク」という言葉はしばしば聞きますが、「エネルギーフード」「エネルギードリンク」という言葉はあまり聞かないような気がします。
このコラムではドイツ語由来の「エネルギー」を主に使い、「エネルギー問題」について議論していくことにします。