ホーム>技術>エネルギー問題と私たちの生活について>原子力発電のウラに隠れた秘密
環境問題や地球温暖化問題が引き合いに出されると必ず、「原子力発電をもっと増やさなくてはならない」という主張が出てきます。なぜ環境問題が出てきたときに、原子力発電を増やそうという主張が必ず出てくるのでしょうか。本当に原子力発電は環境にやさしい発電だと言えるのでしょうか? それともそうではなく、原子力はむしろ環境悪化を招く発電なのでしょうか? 原子力発電のウラには何か秘密が隠されているのでしょうか?
原子力発電のウラには巨大な利権、企業、国の思惑が隠れています。
原子力推進に積極的な国としてよく挙げられるのがフランスです。フランスが原子力発電に積極的なのは、かつての植民地だったアフリカの国から核燃料を安く手に入れられるためだといわれています。
環境問題を議論する際に原子力発電を増やす話が出てくる最大の理由は、原子力発電がCO2を排出しないという点によると考えられます。
原子力発電はウラン等の核分裂によって発生するエネルギーで蒸気を発生させ、タービンを回して発電します。何か燃料を燃やすわけではないので、原子力発電はCO2排出による地球温暖化寄与が小さいとされています。
しかしながら、原子力発電は必ずしも環境にやさしい発電とは言えません。
たしかに燃料を燃やすわけではないので、CO2は排出しないかもしれません。しかし、核分裂はエネルギーとともに熱と放射能を発します。原子力発電所を建設して運転を始めれば核燃料から放射能が発し続けます。原子力発電所は放射能が外に漏れないよう、何重もの安全対策が施されていますが、それだけ設備や制御システムが大掛かりになります。また、原子力発電所の稼働により排熱が発生し、放射性廃棄物も増え続けることになります。
放射性廃棄物には、高レベル放射性廃棄物と、比較的線量の低い低レベル放射性廃棄物に分類されます。放射性廃棄物の最終処理については未だ確立されていないといわれています。最終処理の方法が決まっていないまま放射性廃棄物が増え続けている現状は、将来への不安を増大させています。
原子力発電所は事故がおきないよう、二重、三重の安全設計が施されています。しかし、だからといって100%事故が起きないと過信するわけにはいきません。ひとたび事故が発生すれば広範囲の人々に大きな影響を与えます。場合によっては火力発電とは比べ物にならないほど甚大な環境汚染をもたらすことになるかもしれません。
環境への影響にいても不安視する声は少なくありませんが、それでも環境問題が取り上げられるたびに原子力発電の話題が出てくるのは、それだけ原子力発電の利権が大きく、企業や国の思惑が影響しやすいと言えるかもしれません。