ホーム>技術>エネルギー問題と私たちの生活について>エネルギーの保存とエネルギーの散逸
エネルギーは保存されます。ある閉じた系で例えば位置エネルギーが運動エネルギーへ、運動エネルギーが熱エネルギーへと形態が変化した場合、その系のエネルギーの総和は常に一定です。同時に、エネルギーは不可逆に変化します。高温の物質から低温の物質に熱は流れますが、自然のままでは逆方向に熱は流れません。不可逆変化によってエネルギーは散逸します。エネルギーの保存と散逸は、エネルギー問題を理解するうえでの重要ポイントです。
エネルギーが保存されるということは、エネルギー自身は形態を変えても一定不変で保存されるということです。これをエネルギー保存の法則、あるいは熱力学第一法則と呼びます。
エネルギー保存の法則は様々な実験研究によって得られた、いわゆる「経験則」とされています。
「え!? でもエネルギーって、なくなるんじゃないの? 灯油やガソリンを使えば減っていくし、電気だって消費してなくなっていくでしょう?」
そう、疑問に思う人もいるでしょう。実際、「エネルギー問題」という言葉を使うと、「エネルギーが無くなってしまう問題」だと勘違いしてしまう人が少なからずいます。
実際には、エネルギーはその形態が変化するのであって、エネルギーそのものが無くなるということはありません。「エネルギー問題」は「エネルギーが無くなる問題」ではないのです。
「エネルギー問題」は、利用可能なエネルギーが減少し、利用しにくい・あるいは利用できないエネルギーが増えすぎてしまう問題です。
エネルギーは不可逆に変化します。エネルギーが不可逆に変化するため、自由エネルギー(利用可能なエネルギー)は減少していきます。これはエネルギーの散逸と呼ばれます。自然界の現象は不可逆で、一定の方向すなわちエネルギーが散逸する方向にしか動きません。低温物質から高温物質へ熱が自然に流れることはありません。これを熱力学の第二法則と呼びます。
エネルギーをどんどん利用すれば、エネルギーはどんどん散逸します。エネルギーの利用が活発になることで利用可能エネルギーが無くなってしまい、利用できないエネルギーばかりになってしまえば、人類の活動は行き詰ってしまうかもしれません。
私たちはまず、エネルギーは保存されるということ、そしてエネルギーを利用することで利用可能なエネルギーが減少していくことを知っておくことが大切です。