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12.天津風(あまつかぜ) 雲の通(かよ)ひ路(じ) 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ  僧正遍昭

小倉百人一首の十二首目は僧正遍昭の歌です。僧正遍照は天台宗の僧侶で六歌仙のひとりであり、また三十六歌仙の一人でもあります。桓武天皇の孫という高貴な血筋ですが、仁明天皇の崩御と共に出家したそうです。これは僧正遍昭の出家前の作で、五節の舞姫を見てずっとその美しい姿を見ていたいという思いを詠んだ歌とされています。

12.天津風(あまつかぜ) 雲の通(かよ)ひ路(じ) 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ  僧正遍昭

歌の解釈としてはおおよそ、「天上を吹く風よ、雲の通り道を吹いて閉ざしてくれよ。乙女たちの姿をしばらく留めておきたいのだ」です。これは僧正遍昭が出家する前、宮中にて五節の舞姫を見て詠んだ歌とされています。美しい舞姫たちの姿をしばらく見ていたい、そんな思いを詠んだ歌として高い評価を得ています。
お坊さんが乙女たちの姿をしばらく見ていたいとは、とちょっと違和感を覚えるかもしれません。どうやらこれは出家前の作品のようです。僧正遍昭は出家前も出家後も歌を詠んでいますが、その歌風は大きく変化しているといわれます。
僧正遍昭は、絶世の美女とされる小野小町との恋愛に関する逸話が残されています。出家前に小野小町に片思いしていたとか、出家後に歌のやり取りをしていたとか言われていますが、実際はどうだったのでしょうか。
僧正遍昭さん、けっこう恋多き男だったのかもしれませんね。
藤原定家は僧正遍昭のこの歌を百人一首の十二首目に選びました。そうして出家した僧侶の名である僧正遍昭として「乙女たちの姿をしばらく見ていたい」との歌が後々まで残ることになりました。出家前は浮名を流したプレイボーイ、そして出家後は天台宗の高僧、そんな僧正遍昭の名高い歌を、いまいちどじっくり味わってみましょう。


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