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14.陸奥(みちのく)の しのぶもぢずり 誰(たれ)ゆゑに 乱れそめにし われならなくに  河原左大臣

小倉百人一首の十四首目は河原左大臣こと源融(みなもとのとおる)の歌です。源融は嵯峨天皇の第十二皇子でしたが、源の姓を賜って臣籍降下し、後に左大臣にまでなった人です。この歌は、しのぶ恋によりかき乱されている心情を詠んだものとされています。「しのぶ」は、片思いの気持ちを心に秘めながら思い悩んでいる状況をあらわす言葉として、和歌ではよく使われます。

14.陸奥(みちのく)の しのぶもぢずり 誰(たれ)ゆゑに 乱れそめにし われならなくに  河原左大臣

歌の解釈としてはおおよそ、「陸奥のしのぶもじずりの乱れ模様のように、私の心が乱れているのは誰のせいでしょうか、私のせいではないのに」です。これは片思いの忍ぶ恋がとうとう隠しきれなくなって乱れてしまい、それが自分のせいではなく、あなたのせいだと訴えている恋の歌だと考えられています。
しのぶもぢずりは、信夫文字摺のことで平安時代の狩衣に使われていた絹のことだそうです。狩衣の信夫(しのぶ)に「しのぶ恋」をかけ、またその絹の乱れ模様に心の乱れをかけた歌です。
「しのぶ恋」ですから、片思いの相手に向けた歌だと解釈するのが普通だと思いますが、違う解釈もあるようです。
実はこの歌は、浮気を疑われた源融が言い訳のために詠んだ歌だという説があります。浮気してるんじゃないのと詰め寄られた源融が、「私は別に誰かのことが気になって心が乱れているのではない、私が悪いんじゃないよ」と言い訳している歌だというのです。そんな風に解釈すると、この歌も違って見えてきますね。河原左大臣こと源融は、源氏物語の主人公である光源氏のモデルの一人だとも言われており、それだけ恋多き男だったのかもしれません。浮気の言い訳をしている歌だという解釈も、光源氏のモデルの一人だと考えると十分ありうるような気がしてきますね。
藤原定家は源融のこの歌を百人一首の十四首目に選びました。河原左大臣こと源融は嵯峨天皇の子ですし、なにしろこの歌はとても有名です。この歌はまさに百人一首に選ばれるべくして選ばれた、文句なしの一首といっても過言ではないでしょう。


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