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15.君がため 春の野に出でて 若菜摘む わが衣手に 雪はふりつつ  光孝天皇

小倉百人一首の十五首目は光孝天皇の歌です。第五十八代天皇の光孝天皇は仁明天皇の第三皇子でした。親王として宮廷の役職に就いていましたが、陽成天皇が十七歳という若さで譲位することになり、急きょ五十五歳で天皇になったそうです。この歌は、恋人のために春の七草の若菜摘みをしている情景を詠んだものです。天皇になってから若菜摘みをするとは考えにくいので、おそらくは親王として仕えていたときに詠んだ歌なのでしょう。

15.君がため 春の野に出でて 若菜摘む わが衣手に 雪はふりつつ  光孝天皇

歌の解釈としてはおおよそ、「君のために、春の野に出かけて若菜を摘んでいる。その私の衣手には雪が降っているよ。」です。これは光孝天皇が愛する人のために自ら、春の七草を摘みに行っている様子を詠んだ歌です。シンプルでわかりやすく、情景が目に浮かぶようです。
光孝天皇の一途な愛情が感じられる、人々の心を温かくするような好感度の高い歌です。愛する人のために、雪が降る中を若菜摘みにいそしむ、そんな優しい天皇だったのでしょう。
光孝天皇は本来、天皇になる予定はなかったといわれています。しかし、陽成天皇が十七歳という若さで譲位することになり、光孝天皇は五十五歳という当時ではなかなかの高齢で即位することになります。このとき、宮廷では権力争いや陰謀など、不穏な動きがあったようです。
文化活動に熱心だった光孝天皇ですが、政治にはあまり関心は無かったのかもしれません。即位後すぐに藤原基経を関白にして、政治をまかせていたようです。
藤原定家は光孝天皇のこの歌を百人一首の十五首目に選びました。覚えやすく評判の良い歌で、定家がこれを百人一首に選んだのも当然と言えるでしょう。


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