TamatsuLab

ホーム文化小倉百人一首について>22.吹くからに 秋の草木(くさき)の しをるれば むべ山風(やまかぜ)を 嵐(あらし)といふらむ  文屋康秀

22.吹くからに 秋の草木(くさき)の しをるれば むべ山風(やまかぜ)を 嵐(あらし)といふらむ  文屋康秀

小倉百人一首の二十二首目は文屋康秀の歌です。文屋康秀は六歌仙の一人で、地位はそれほど高くありませんが、三河に赴任する際に小野小町を誘ったことで知られています。歌の上手い人はプレイボーイが多いのでしょうか。この歌は、「吹けばたちまち秋の草木がしおれるのだから、いかにも山風を嵐というのだろう」と解釈されます。

22.吹くからに 秋の草木(くさき)の しをるれば むべ山風(やまかぜ)を 嵐(あらし)といふらむ  文屋康秀

歌の解釈としてはおおよそ、「吹くとたちまちに秋の草木がしおれてしまうのだから、いかにも山から吹き降ろす風を嵐というのだろう 」です。草木が枯れていく秋の情景を詠んだ、とてもシンプルでわかりやすい歌ですね。
この歌は、山風と嵐が掛けられています。山に風と書けば嵐になる、そんな漢字遊びが含まれた歌です。もしかしたら、子どもたちの漢字の勉強のために詠んだ歌なのかもしれませんね。恋心を情熱込めて詠んだわけではないので、六歌仙のひとりでありプレイボーイとのうわさもある文屋康秀の歌としては意外な感じがするのかもしれません。そのせいか、この歌は本人のものではないのではないかという説もあるようです。でも、あの藤原定家が百人一首に選んだのですから、きっと本人の歌なのでしょう。
文屋康秀は恋の歌も多いのですが、藤原定家はあえてこの歌を百人一首の二十二首目に選びました。恋の歌ではなく、秋の草木がしおれていく歌を選んだのは、定家のどんな思いが込められていたのでしょうか。世間では文屋康秀といえば恋の歌だと思われているけどこんな意外な歌も詠んでいるんだよ、とばかりに藤原定家は彼の一般的な評価とは異なる面を示したかったのかもしれません。


△小倉百人一首についてに戻る

ページのトップへ戻る