ホーム>文化>小倉百人一首について>48.風をいたみ 岩うつ波の おのれのみ 砕(くだ)けてものを 思ふころかな 源重之
小倉百人一首の四十八首目は源重之(みなもとのしげゆき)の歌です。源重之は清和源氏の血筋で村上天皇から円融天皇のころにかけて歌人として活躍しました。官位はそれほど高くありませんが歌人としては有名で、三十六歌仙の一人に選ばれています。この歌は、強い風によって岩に打ち付けられた波のように、失恋で打ち砕かれた男の悲しい心情を詠んだ歌とされています。
歌の解釈としてはおおよそ、「風があまりにも強くて、大きな波が岩にぶち当たっている。岩はそのままなのに波だけが砕けている。私も波と同じように、恋をしても振り向いてくれなくて砕け散ってしまっている」です。失恋ですね。一生懸命アタックしたのに、お目当ての女性は振り向いてくれなかったのでしょうか。ちょうど波が岩にぶち当たって砕けていくように、源重之の心も砕け散っていったようです。
源重之さん、よっぽと失恋したのがつらかったようです。確かに一生懸命アタックした相手に振られるとダメージ大きいですよね。でも、そういうときは早めに気持ちを切り替え、いつまでも失恋を引きずらないことが大切です。源重之さんも、早く失恋から立ち直ってくれるといいですね。
藤原定家は源重之のこの歌を百人一首の四十八首目に選びました。定家は悲しみや苦しみを表現した失恋の歌が好きなのでしょうか。もしかしたら、小倉山荘に長いことこもってて、このあたりではちょっと気分が落ち込んで暗い歌を選ぶようになったのかもしれません。定家さんもできれば気分転換して、明るい歌も選んでほしいなという気がします。