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49.御垣守(みかきもり) 衛士(ゑじ)のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ   大中臣能宣

小倉百人一首の四十九首目は大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ)の歌です。大中臣の家は代々伊勢神宮の祭主を務める家柄で、能宣も伊勢神宮祭主となっています。歌人としての評価は高く、和歌所寄人である梨壺の五人の一人として歌合や屏風歌などで活躍し三十六歌仙の一人に選ばれています。この歌は、宮中の衛士が焚く火のように燃えては消える恋の苦しい気持ちを詠んだ歌とされています。

49.御垣守(みかきもり) 衛士(ゑじ)のたく火の 夜は燃え 昼は消えつつ ものをこそ思へ   大中臣能宣

歌の解釈としてはおおよそ、「宮中の御垣守、衛士の焚く火の夜は燃えているが、昼は消えてしまう。私の恋心も夜は気持ちが燃え上がるものの、昼になると消えていってもの思いにふけってしまう」です。恋心が燃え上がったり、逆に消えたりしてもの思いにふけったりするのは相手との関係があまり上手くいっていないからでしょうか。揺れ動く心を持てあましてついついもの思いにふけってしまう、そんな恋心のつらさ、苦しさを詠んだ歌ですね。
伊勢の祭主である能宣さんも、つらくて苦しい恋心を抱えて悩んでいたのかもしれません。神主さんだって恋はしたいでしょう。伊勢の祭主にまでなった方でも恋に悩み、もの思いにふけるということがあるんですね。恋の悩みは、人類共通の悩みなのかもしれません。
藤原定家は大中臣能宣のこの歌を百人一首の四十九首目に選びました。定家はまたまたつらくて苦しい恋心の歌を選びました。定家も小倉山荘にこもっているうち、好きな人のことを思いだしてつらくて苦しい気持ちになっていたのでしょうか。それゆえ、つらくて苦しい恋の歌が多く百人一首に収められているのかもしれません。


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