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51.かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃(も)ゆる思ひを   藤原実方朝臣

小倉百人一首の五十一首目は藤原実方朝臣(ふじわらのさねかたあそん)の歌です。藤原実方は藤原北家の血筋で、貞信公の五男であり小一条流の祖である左大臣・藤原師尹の孫です。才覚のある風流な人で順調に昇進していましたが、一条天皇のころに突如地方に左遷され、出向先でおよそ四十歳ほどで没したそうです。後に中古三十六歌仙に選ばれています。この歌は、秘めた恋がますます燃え上がっていく苦しい想いを詠んだ歌とされています。

51.かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃(も)ゆる思ひを   藤原実方朝臣

歌の解釈としてはおおよそ、「あなたのことを思い慕っているのですが、あなたに言うことができません。伊吹山のさしも草が燃え上がるように、燃えるほど慕っているこの想いを、あなたはここまでとはご存じないのでしょうね。」です。つらくせつない、燃え上がる片思いの気持ちを詠んだ歌ですね。気持ちが燃え上がるほど相手にはうまく言えなくなる、そんな忍ぶ恋のもどかしい気持ちが伝わってきます。
藤原実方さんは歌に技巧を凝らすのが上手い人だったようです。言葉のかけかたが面白いだけでなく、いろいろ技巧が隠されているようなので、調べてみると面白いでしょう。また、伊吹山についてその歴史を調べてみると、この歌の隠された暗号が見つかるかもしれません。
藤原定家は藤原実方朝臣のこの歌を百人一首の五十一首目に選びました。相手にも言えない忍ぶ恋がだんだん燃え上がっていく、そんな想いを詠んだ歌ですから、まさに定家好みの歌ですね。順調に出世していたのに突如左遷された実方の運命にも、定家は同情していたのかもしれません。


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