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56.あらざらむ 此(この)世の外(ほか)の 思ひ出に いまひとたびの 逢ふ事もがな   和泉式部

小倉百人一首の五十六首目は和泉式部(いずみしきぶ)の歌です。和泉式部は大江雅致の娘で、和泉守・橘道貞の妻でしたが、後に藤原保昌と再婚し丹後国に下っています。「和泉式部」というのは父の官職名と最初の夫の赴任先とをあわせたものです。恋心を自由に、表現力豊かに詠むことで評判になり、歌人としての評価は高く中古三十六歌仙および女房三十六歌仙に選ばれています。また、和泉式部日記を残したことでも知られています。この歌は、死ぬ前にもう一度逢いたいと、女性の強い恋心を表現した歌として有名です。

56.あらざらむ 此(この)世の外(ほか)の 思ひ出に いまひとたびの 逢ふ事もがな   和泉式部

歌の解釈としてはおおよそ、「私はもう死んでしまいます。この世から去ってしまう思い出として、いまいちどあなたにお会いしたいのです」です。死ぬ前に願いを叶えてくれるなら、もう一度だけあなたに逢いたい。女性の強い恋心を、気持ちのまま自由に表現した歌ですね。そんなことを言われたら、男としても逢いに行かないわけにはいかない気持ちになることでしょう。この歌は女性の恋心を素直に表現した歌としてとても評判で、評価の高い歌です。
和泉式部は恋多き女として知られています。最初の夫と破局した後、藤原保昌と再婚するまでに二人の親王と結ばれたそうです。彼女が多くの男性を惹きつけたのも、彼女の和歌の才能が寄与したのかもしれません。和歌に込められた恋の気持ちが、多くの男性を魅了したのでしょう。
藤原定家は和泉式部のこの歌を百人一首の五十六首目に選びました。定家好みの恋の歌ですね。和泉式部の強い恋の気持ちが表現された歌には、定家もきっとグッとくるものがあったことでしょう。


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